もし自分が事件や犯罪に巻き込まれたらどう生きていきますか。 この本は、「ギン萬事件」という昭和に起こった未解決事件をめぐり、主人公の曽根俊也と記者の阿久津英士の視点で書かれるサスペンス小説である。 この本を読み事件に巻き込まれた被害者たちは事件が時効になったことで今もなお苦しんで生きているのではないかと感じた。 主人公の俊也は父の遺品からカセットテープを見つけるまでは平凡に生活をしていたがなぜ自分の声が使われているのか、なぜ父親が事件に関わるそのテープを持っているのか、事実を追い求めていく一方で自分の家族が風評被害に遭ってしまうのではないかという葛藤が印象的であった。 この本の何が面白いかというと実際に起こった「グリコ・森永事件」という昭和に起こった事件をモデルに物語を描いている点である。犯人の顔の特徴や脅迫に使われたカセットテープの内容など実際に起こった事件が細かく再現されている。この事件を知らない人はネットで事件について調べながら読むと、この本の情景や事件が起こった時代背景が分かるのでより面白いと感じながら読むことができると思う。
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