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みなさんは、なにか「きっかけ」があって旅に出ることはありますか？それはたまたまだったり、誰かに誘われたからであったり、傷心旅行だったり。
この本は、全8話の独立した旅のショートストーリーから構成されています。しかし、この旅の中には、人の心情であったり、こじらせた人間関係などを含んでおり、すべてが少し「訳あり」な旅行となっています。例えば、第4話の北海道旅行では、主人公である「わたし」の姉に誘われて行きますが、本来では恋人と来る予定になっていました。この続きは、自身でお確かめください。
物語の一番の特徴は、人物の心理がとても伝わりやすくなっていることです。作者の加藤千恵さんは、元来は短歌や恋愛小説の名手であり、微妙で繊細な人の心の表現が上手です。そのため、全ての物語が「わたし」視点で描かれていることも相まって、まるで自分がその立場にいるかと錯覚してしまうほど、正確に読み取ることが出来ます。
人間の刹那の心情がこと細かに描かれた、新しい旅小説となっています。みなさんも読んでみて、物語に入り込んでください。その時、あなたは旅にいます。
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