書誌レビュー一覧 1件~1件(全1件)

イメージ

四月になれば彼女は

川村元気著. -- 文藝春秋, 2019. -- (文春文庫 ; [か-75-3]).
ISBN:9784167913076
総合評価:

1

お薦め本:展示【2019.12】

この本は「モテキ」や「億男」などで知られる川村元気さんによる恋愛小説です。結婚を控えた主人公のもとに、初めての恋人から手紙が届き始めます。
「九年ぶりです。伝えたいことがあって、手紙を書いています。」
この一言から物語は進んでいきます。初めての恋人との初々しい思い出と、愛しているのかわからない婚約者との現在の生活が交差しながら、様々な感情の中でもがく姿がとても印象的です。そして、大切なものは何でどこにあるのか、を探していきます。主人公やその周囲の人々の関係やそれぞれの考え方などに、分かりそうで分からない「儚さ」と、それが意外にも自分の生き方にも重なっているという「リアルさ」が共存していて、この作品が持つ雰囲気に夢中になりました。主人公が最後にどういう結末を選んだのか、自分なりに解釈してみるのも楽しいと思います。また、本書のあさのあつこさんによる解説が、作品の世界観を言語化していて、とても面白かったので、最後までこの作品を楽しんでもらいたいと思います。


0人中、0人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。このレビューは参考になりましたか? はい いいえ